不登校と身体化の関係性

心身医学的アプローチによる不登校・行き渋りの理解
支援者向け研修資料

身体症状に隠された
「言葉にならない叫び」を聴く

不登校や行き渋りは「甘え」や「根性不足」ではありません。
子どもたちの身体が発するSOS—身体化(Somatization)—のメカニズムを、
小児科学と臨床心理学の両面から紐解きます。

1

複眼的視点

「体」の専門家(小児科医)と「心」の専門家(心理士)の両視点で、一人の子どもを立体的に捉えます。

2

身体化の理解

ストレスが言語化されず、腹痛や頭痛として現れるメカニズム(アレキシサイミア)を学びます。

3

適切な介入

「頑張らせる」のではなく、身体的・心理的休息を通じたスモールステップの支援を設計します。

「学校に行けない」のではなく「体が動かない」

多くのケースで見られる起立性調節障害(OD: Orthostatic Dysregulation)。 これは本人の意思の問題ではなく、自律神経系の機能的な不調です。

ODの生理学的現実

健康な子どもは朝、交感神経が活性化し血圧が上がりますが、ODの子どもはこのスイッチが入らず、脳血流が維持できません。

結果: 午前中は体が鉛のように重く、思考も停止。夕方から夜にかけてようやく交感神経が働き出し、元気になります(これが「夜更かし」と誤解される原因です)。

支援のポイント

  • 午後からの活動を認める・評価する
  • 「怠け」ではなく「病気」としての受容
  • 投薬・水分摂取・昇圧処置の励行

活動エネルギーの日内変動比較

※典型的なパターンを示すイメージ図です

身体化(Somatization)の解読

子ども、特に思春期前の子どもは、自分の感情(不安、怒り、悲しみ)を言葉にする能力が未発達です。 これをアレキシサイミア(失感情症)的傾向と呼びます。 行き場を失った感情は、自律神経系や内分泌系を介して「身体症状」として出力されます。

身体からのSOS (クリックして解析)

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左のリストから症状を選択してください

その症状の裏にある心理的背景と対応のヒントを表示します。

言葉にならない叫び (深層心理)

“…”

👀 観察のポイント

    🤝 支援者の対応 (Acceptance)

    医療・心理・生活の連携支援モデル

    エネルギーの枯渇した子どもに必要なのは、段階的な回復プログラムです。

    Step 1: 完全休息期

    まずは「充電」に専念する

    1

    登校刺激を一切止め、罪悪感を取り除く時期です。昼夜逆転も一時的に容認し、家が「安全基地」であることを再確認させます。医療機関でのOD検査や診断もこの時期に行い、親の不安を解消します。

    Step 2: 生活リズム調整期

    少しずつ活動量を増やす

    2

    体調の良い午後から、好きなこと(ゲーム、読書、料理)を通じて「楽しむエネルギー」を蓄えます。親子で会話が増え、笑顔が見られるようになるのが目安です。

    Step 3: スモールステップ試行期

    社会との接点を点検する

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    放課後登校、別室登校、適応指導教室、または習い事など、学校以外の居場所を試します。「行けた」という事実よりも「行ってどう感じたか」の傾聴が重要です。

    Step 4: 社会的自立期

    自分らしいペースの確立

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    毎日通学することだけがゴールではありません。通信制高校やフリースクールも含め、本人が納得して選んだ進路で、自己肯定感を持ちながら生活できる状態を目指します。

    支援者にできること:Active Listening

    「どうして行けないの?」と問うのではなく、「今は休むときなんだね」と受容すること。
    その安心感が、子どもの凍りついたエネルギーを再び溶かします。

    傾聴 受容 共感 待つ勇気

    本資料は専門職向けの研修用資料として作成されたデモンストレーションです。

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